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最新レポート
謝らないアメリカ人

筆者はアメリカで企業を経営している。米国企業の税務申告期限は毎年4月15日である。3月頃になると税務会計事務所から、「決算の数字は用意できたか」と聞いてくる。弊社では、Intuit社の会計ソフトQuickbookを使って財務諸表を作成している。2006年度(2006年1月1日から12月31日まで)の決算書を3月中旬に税務会計事務所に提出した。

4月に入って税務会計事務所から、完成した納税申告書が届いた。ところが、この数字が当方で報告したものとまったく違うのである。売上高が1/4になっている。どうしてこんな数字が出てきたのか、まったく理解できない。やり直しを命じたが、これから作業し直しては4月15日に間に合わないという。仕方なく納税期限を六ヶ月延長することにした。

5月に入って請求書が届いた。納税申告が完了していないにも拘わらず請求だけはしてくる。
ほったらかしておいた。7月に入って担当パートナーから督促が来た。「督促をするより前に早く正しい申告書を用意しろ」と突き返した。8月に入って申告書が届いた。今度は問題がないようだった。だが、新しい請求書が来た。前のより更に請求額が増えている。税務会計事務所は顧客の為に使った時間をベースに請求する慣習があるからだ。

3月の誤った決算の原因を究明するように要請したが、「その原因は当方にある」という回答だった。「そんな馬鹿な」。当方から出した財務諸表はただひとつしかない。それについては先方も同意している。彼らが数字を取り違えたか、ほかの顧客の会社の財務諸表と勘違いしたかしか考えられない。しかし、彼らは非を認めない。

筆者は先方が謝れば、相当の料金は支払おうと思っていた。しかし、彼は謝らなかった。彼は最後まで、「非は当方にあるか、さもなくば、どちらにあるか分からない」と言い張った。私は決断した。この事務所を解雇した。料金は一切支払わなかった。そして、彼が作ってきた修正後の申告書を直ちに返送した。身ぎれいにする為だ。そして私は決算資料を日本人が経営する事務所に持ち込んだ。

アメリカ人はどうしてこんなに強情なのだろうか。自分の非を認めることは、弱さの露見なのだろうか。自分の非を認めることは、「負」を抱え込むことになるのだろうか。この場合の「負」は、間違った申告書の作成に使った時間を請求できなくなることなのだろうか。

しかし、強情を通しすぎたために、修正申告書の作成に使った時間すら取りはぐれてしまった。その上、取引関係も根こそぎなくなってしまった。愚かなことだ。日本人だと思ってなめてかかるから、こういうことになるのだ。英語は下手でも、日本人の精神構造はアメリカ人とは違うのだ。

ブッシュ大統領も謝らないアメリカ人の最右翼である。イラク侵略が間違いだったことをいまだに認めていない。議会や世論が兵力の削減を要求しても、あくまでもこれに抵抗し、むしろ逆に兵力を増強するほどの強情さである。

最近になって、兵力を削減する計画を発表した。このときの説明は「イラクの治安が回復したから」である。更に続けて、「アメリカがイラクから兵力を削減するときは、我々の力と成功によって行うのであって、恐怖とか失敗によって行うのではない」とわざわざ注釈を付けている。

この戦争はもともとイラクが大量破壊兵器を保有していることの疑惑から始まった。国連IAEA(国際原子力機関)のエルバラダイ議長が、「もっと時間をかけてその有無を調査したい」とする意向を無視して、単独で戦争に突入した。しかしイラク側が主張する通り、イラクは大量破壊兵器を持っていなかった。その上、この戦争で数万人のイラク市民が犠牲になっている。これに対するブッシュ大統領の謝罪はない。

謝罪しないどころか、開き直っている。「私は過去も現在も自分の知っていることしか知らないが、アメリカはイラクで正しいことをした。我々の行動によって、イラクの悪夢はなくなった。」と意味不明の演説をしている。ブッシュ大統領のデッチアゲに協力させられたコリン・パウエル元国務長官とジョージ・テネット元CIA長官は、責任を取ってその後辞任している。

こうしたブッシュ大統領の行動、アメリカのイラク侵略は、海外で大いに不評を買っている。世界主要国においてアメリカへの好感度を追跡調査したデータがある。それによるとブッシュ大統領の誕生(2000年)以降、イラク侵攻(2003年)と年を重ねるごとに評価が落ちている。以前からアメリカのよき理解国であった欧州・カナダで、評価の低下が特に著しい。

(単位:%)
国名2000年2002年2003年2004年2005年
カナダ717263 59
英国8375705855
フランス6263433743
ドイツ7861453841
スペイン50 38 41
ポーランド 79  62
ロシア3761364752
トルコ5230153023
レバノン 3527 42
ヨルダン 251521
モロッコ77 272749
インド 54  71
パキスタン2310132123
インドネシア756115 38
中国    42
U.S. Department of State and Environics (Canada) 2000
Pew Global Attitude Project 2002-2005

欧州には以前から「アメリカ嫌い」の思想があった。「彼らには歴史がない、文化がない、忍耐力がなく幼稚、軽薄、功利主義者、根無し草、物質主義者」がその理由であった。しかし最近になって彼らの批判に、新たな理由が追加された。「傲慢、思い上がり、人の言うことを聞かない、押し付けがましい、世界のルールを無視する、偽善主義者(本当は石油が欲しいくせに、イラクの民主化を口にする)」等々である。

ソ連が崩壊して冷戦が終了し、アメリカだけが世界で唯一の超大国となった。強い立場を背景に、周囲の意向を無視して武力を行使することが、こうした批判を招いているように思う。ブッシュ大統領の政治行動と、アメリカ人の気質を一般化して同一視するのは早計かもしれない。しかし、この会計士の態度を見ていると、欧州のアメリカ批判がそのまま当てはまるような気がする。

こうした態度を取られては、今後の弊社のビジネスに支障がおきかねない。確かに、ここはアメリカだし、私の企業もアメリカ企業である。だが、納得の行かないやり方は拒否するしかない。ここはアメリカでも私は日本人だ。私の行く道を阻むものがあれば、バッサリ斬り捨てるしかない。私は「大和魂」で行くのだ。


カリフォルニア州メンロパーク市にて
安藤 茂彌 (2007年10月17日)

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